大空間で香りを均一に届けるには、拡散設計が欠かせません。空港ラウンジや豪華客船のような広い空間では、入口では強すぎ、奥では感じられない、といったムラが課題になるためです。どんな香りを選ぶかと同じくらい、どう届けるかが成否を分けます。
プロモツールは、日本を代表する航空会社・JALの空港ラウンジや、こちらもまた日本を代表するラグジュアリーな客船「飛鳥Ⅲ」で、この拡散設計に取り組んできました。上質なおもてなしが求められる空間では、香りの品質に加え、拡散性能、静音性、日々の運用までが問われます。
その要求に応える機器の一つが、JALや「飛鳥Ⅲ」にも採用された国産の高級業務用アロマディフューザー「セントFORESTⅡ」です。価格は決して安くありません。それでもこうした現場で選ばれてきたのは、香りを「出す」ことではなく、空間の品質として届けることに本気で取り組んでいるからです。
本記事では、公開されている導入事例やインタビューをもとに、一流の空間を支える拡散設計と、「セントFORESTⅡ」の品質を支える技術をひもときます。
目次
拡散設計の一般的な流れ
拡散設計は、次のような流れで進みます。以下、この順に見ていきます。
1. 空間を読む。広さ、空調の風向き、場所ごとの使われ方を確認します。
2. 機器を選ぶ。香りの粒子を安全に、遠くまで運べる構造かを見ます。
3. 運転を決める。噴射の間隔と香りの濃さを組み立てます。
4. 現地で確かめる。実際の空間で強さを調整します。
5. 運用しながら見直す。交換や保守、機器の改良を続けます。
大空間で「均一に届ける」とは、同じ強さで香らせることではない
JALの担当者は、乗りものニュースのインタビュー(2020年11月)で、大きなラウンジでは濃く抽出したアロマ、コンパクトなラウンジでは薄く抽出したアロマが使われることが多いと話しています。そのうえで、香りの強さはどの空港でもできる限り同じになるようにしているそうです。
機械の出力をそろえることが均一なのではなく、利用者が感じる強さをそろえることが均一である。そう整理できます。飛鳥Ⅲでも、プロモツールは大規模な空間で均一に香りを行き渡らせる技術力を評価されたと、2026年5月のプレスリリースで説明しています。空間の条件が厳しいほど、香りの「感じ方」をコントロールできる設計が必要になります。高い機器がプロに選ばれる理由の一つは、ここにあります。
設計は、空間を読むところから始まる
拡散設計は、香りを置く空間を読み取るところから始まります。JALの担当者は、空港ごとに空調の風向きが違うため、ディフューザーをどこに置くかが重要になると話しています。JALのラウンジでは入口付近にディフューザーを置き、大きなラウンジでは壁の中に埋め込む例もあります。
飛鳥Ⅲには、3層吹き抜けのアトリウム「アスカプラザ」、グッズ売り場の「アスカコレクション」、展望大浴場のグランドスパなど、広さも使われ方も違う空間があります。プロモツールは、空間の雰囲気に合わせて2種類の香りを開発し、アトリウムなどには「セントFORESTⅡ」を設置しました。スパ施設のレセプションなどには、ノンリキッド型フレグランススティックの「セントSTICK」を置いています。

香りを、静かに遠くへ届ける——上質な空間を支える機器設計
国産の高級業務用アロマディフューザー「セントFORESTⅡ」は、安全性を最優先に設計された機器です。香料の品質だけでなく、噴霧方式や機構設計まで安全性に配慮しています。香料の側でも、IFRAとRIFMの基準に即した原料を選び、ガスクロマトグラフィーで成分を確かめます。(※香料の安全性を調香師と分析体制で確かめる考え方については、コラム「「天然香料なら安全、合成香料なら危険」は本当か?」でも詳しく解説しています。)
一方で、粒度の大きい香りのミストは重く、そのままでは遠くへ広がりにくくなります。そこで「セントFORESTⅡ」には、静音タイプのシロッコファンを搭載し、香りのミストを空間へ送り出す構造を採用しています。安全性に配慮しながら、香りの広がりと静音性の両立を図った設計です。
高級ホテルやブランド空間では、香りが届くことに加え、会話やくつろぎを妨げないことも大切です。目立たずに働きながら、空間の印象を整える。「セントFORESTⅡ」は、こうした現場で求められる総合的な品質を追求しています。静音性や安全性、遠くまで届く拡散性能は、スペック表だけでは測りにくい部分です。それでもプロの現場では、これらの条件を満たせるかどうかが採用の分かれ目になります。
運転の設計——出し続けるか、休ませるか
機器を置いたあとは、運転の仕方を決めます。JALのラウンジでは、空港によって、香りを出し続ける場合と、何分か吹いて何分か休む場合があります。濃さの違うアロマも数種類用意し、空港ごとに使い分けています。
同じ機器でも、噴射の間隔と香りの濃さで、空間に広がる量は変わります。その釣り合いは、実際の空間で確かめて決めるものです。機器の性能を、現場での心地よさにつなげるには、空間ごとの設計と調整が欠かせません。プロモツールは、香りと機器、そして届け方までを一体で考えています。機器単体の価格ではなく、空間に合わせて調整できる体制ごと選ばれているのが、プロの現場の特徴です。
現地で確かめ、運用しながら改良する
JALの担当者によると、香りを入れている空港では、調香師が実際に現地を訪れて確認し、納得したうえで提供しているといいます(2020年時点)。設置場所、強さ、噴射のタイミングを、現地で見て決める工程です。
導入後も、設計は続きます。天然素材の香りは持続する時間に限りがあるため、JALは交換の頻度も「新鮮なうちに」と気を配っています。機器の側では、プロモツールが2026年6月、東京都中小企業振興公社の「令和7年度 製品改良/規格適合・認証取得支援事業」に採択され、セントFORESTⅡの改良開発に着手しました。長時間稼働時の安定性と、日常の操作性を高めることが狙いです。

香りから機器まで、一体で進める研究所の体制
プロモツールは、香料の安全性評価、品質管理、空間拡散設計までを一貫して管理していると説明しています。一流空間のブランド体験を支えるために、調香、研究、製品設計、空間設計、運用サポートを一体にした体制をとっています。プロモツール香り技術研究所を中心に、香料開発、香り分析、芳香機器開発も一体で進めています。
研究所の所長は、日本を代表する調香師・渡辺武志です。調香、分析、商品開発を横断して担当し、JALエグゼクティブラウンジ、飛鳥Ⅲ、グランドニッコー、東京台場、JRタワーホテル日航札幌など、数多くの高品質基準案件を主導してきました。
フレグランスアナリストの西野静恵は、化学エンジニアとして臭気成分の分析に携わった経歴を持ち、ガスクロマトグラフィーを用いた成分分析を担当しています。分析結果を調香師の感性と合わせることで、エビデンスに基づく香り開発を進めています。
一流の空間に選ばれる理由は、香りを届ける品質にある
JALの空港ラウンジ、豪華客船「飛鳥Ⅲ」、グランドニッコー、東京台場、JRタワーホテル日航札幌など、一流企業や一流ホテルの採用実績があります。資生堂の大阪・関西万博パビリオンでも、業務用ディフューザーを用いた拡散設計で、会場の空間を演出しました。
こうした一流企業や一流ホテルの空間を支えるのは、香りの設計、安全性の確認、機器の構造、現地での調整、導入後の運用を切り離さずに考える姿勢です。セントFORESTⅡも、その一貫した品質へのこだわりを担っています。
香りの機器を選ぶことは、お客様が過ごす空間の品質を選ぶことです。導入価格だけでは測れない拡散性能や静音性、空間に合わせた調整、導入後の運用までを重視する方に、セントFORESTⅡをご提案します。(※空間の香りをルームスプレーや客室アメニティとして商品化する方法については、コラム「空間の香りをルームスプレーや客室アメニティとして商品化する方法」でも詳しく解説しています。)
高い機器が、必ずしもすべての空間に必要というわけではありません。しかし、大空間でムラなく、静かに、安全に、そして長く使い続けられる香りを求める空間では、プロが選んできた理由があります。大切なお客様を迎える空間の香りづくりは、香りの設計・導入(プロモツール)へご相談ください。



