空間のオリジナルアロマを、ルームスプレーやシャンプーなどの商品に展開したい。高級ホテルのロビーで香りを楽しんだお客様から「この香りはどこで買えますか」と尋ねられ、そう考える担当者の方もいるでしょう。館内で香らせている香りは、持ち帰れる商品にすることもできます。
ただ、どの商品から始めるか、どこで売るか、何を確認すべきかは、商品の種類によって大きく変わります。ここを決めないまま進めると、試作を重ねても売り場に合わない、肌に使う商品で必要な手続きが後から分かる、といった課題につながります。この記事では、高級ホテルのブランディングや館内商品を担当する方に向けて、空間の香りをルームスプレーや客室アメニティとして商品化するときの商品選び、段階的な展開の進め方、依頼先を選ぶポイントを整理します。
目次
空間の香りを商品にする意味
アロマ空間デザインでつくった香りブランディングの価値は、館内での体験にとどまりません。ロビーの香りを商品にすれば、お客様はホテルで過ごした時間を自宅へ持ち帰り、家族や友人に贈ることもできます。
グランドニッコー東京 台場では、プロモツールが調香したオリジナルアロマ「ANOTHER TOKYO」がロビーで使われていました。同じ香りのアロマディフューザーや、アロマストーン&オイルセットも当社が製作し、館内のショップで販売されていました(2019年7月時点の事例)。プレゼントやお土産に購入されることが多いと紹介されています。
客船「飛鳥Ⅲ」でも、船内の主要な空間に広げている「ASUKA Cruise Original Aroma」が、アロマ&ストーンセットとして販売され、オンラインでも購入できます。空間で出会った香りを、旅の記憶とともに持ち帰れる形にした例です。(※空間の香りをさまざまな製品に展開する考え方については、コラム「空間の香りをさまざまな製品に展開できるのか」でも詳しく解説しています。)
ルームスプレーか、客室アメニティか——商品は使い方で選ぶ
空間の香りを展開できる商品はさまざまですが、使い方によって、開発の手間や確認すべきことが変わります。
ルームスプレーも、周年記念品として贈ればノベルティ、客室に備えればアメニティ、館内ショップで販売すれば物販になります。このように呼び方は提供方法によって変わりますが、本稿では「客室アメニティ」を、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ハンドソープなどのボディケア・ヘアケア商品を指す言葉として用います。
商品選びの目安として、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
一つ目は、置いて香らせる商品です。リードディフューザーやアロマストーン&オイルのように、部屋に置いて香りを広げます。空間での使い方に最も近く、最初の一品として選びやすい商品です。
二つ目は、吹きかけて香らせる商品です。ルームスプレーやファブリックミストがこれに当たります。ラフォーレ箱根強羅 湯の棲 綾館では、開業記念の宿泊プランで用意された記念品のオリジナルアロマスプレーに、当社がデザインした香りが採用されました。
三つ目は、身体や髪に使う商品です。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ハンドソープなどがこれに当たります。客室アメニティとしてホテルの香りを楽しんでいただくほか、販売用の商品にも展開できます。使い心地や洗い上がりも求められるため、香りに加えて、処方や品質の検討が重要になります。

記念品から始め、客室アメニティや物販へ広げる
ホテルの香りの商品化は、最初から多くの商品をそろえる必要はありません。まずは周年記念や特別宿泊プランのノベルティとして、ルームスプレーなどを提供し、お客様の反応を確かめる方法があります。
次の展開として考えられるのが、シャンプーやコンディショナー、ボディソープなどの客室アメニティです。ロビーで出会った香りを、髪や身体を洗う時間にも楽しんでいただくことで、滞在中の体験に一貫性を持たせられます。
さらに、ルームスプレーやディフューザー、ボディケア・ヘアケア商品を館内ショップやECで販売すれば、ホテルで過ごした記憶を自宅へ持ち帰っていただけます。
ただし、この順番に限るわけではありません。ノベルティとして好評だったルームスプレーを先に販売するなど、ホテルの目的やお客様の反応に合わせて、商品と提供方法を組み合わせていくことが大切です。
肌に使うアメニティは化粧品として扱う
ハンドソープやシャンプーのように、身体を清潔にしたり、肌や髪を健やかに保ったりする目的で身体に使う商品は、薬機法上の化粧品に当たります(薬用として効能をうたうものは医薬部外品)。化粧品を業として製造販売するには、化粧品製造販売業の許可が必要です。
そのため、肌に使うアメニティを商品化するときは、香りの開発だけでなく、処方の開発、製造、成分の表示までを、許可を持つ事業者と組んで進めることになります。香料も、肌に触れる用途に合った基準で選ばなければなりません。香料業界の自主基準であるIFRAスタンダードでは、製品の用途ごとに区分が分かれており、空間用の商品と肌に残る商品とでは、使える香料の量の上限が変わります。(※シャンプーなどのヘアケア製品の香り開発については、コラム「化粧品の香り開発とは?シャンプー・ヘアケア製品で失敗しない設計」でも詳しく解説しています。)
安全性と品質を両立させるには、最初に「肌に使うかどうか」を決めておくことが大切です。

商品化の流れ
一般的な商品化の流れは、次の4つのステップで考えると進めやすくなります。
1. 目的と提供方法を決める。館内ショップやECでの販売、開業や周年の記念品、宿泊プランの特典、客室アメニティなど、目的と提供方法によって価格帯や数量、パッケージの考え方が変わります。
2. 最初の一品を選ぶ。最初から多くの商品をそろえるより、ブランドとの相性が良く、提供方法に合う一品から始めるほうが、評価を次の商品に生かせます。将来、客室アメニティや物販へ広げることも見据えて選びます。
3.商品用に香りを整える。空間で使っている香料をそのまま入れても、手元では強すぎたり、印象が変わったりすることがあります。また、シャンプーやハンドクリームでは、香料を配合する基剤によっても香り立ちが変わります。調香師がホテルの香りの特徴を保ちながら、商品ごとの使い方に合わせて調整します。(※基剤によって香り立ちが変わる点については、コラム「同じ香りを、香水・クリーム・シャンプーへ。プロモツール香り技術研究所が考える香りの比較評価」でも詳しく解説しています。)
4. 安全性と量産を確認する。用途に合った安全性の確認と表示に加えて、ロットごとに香りがぶれないか、在庫をどの単位で持つかも決めておきます。
依頼先は、香りから商品・デザインまで対応できる会社を選ぶ
ホテルの香りは、ルームスプレーなどの記念品や販売商品に加え、シャンプーやボディソープなどの客室アメニティにも展開できます。そのため、依頼先は最初の香りづくりだけでなく、化粧品を含む商品開発や、ラベル・パッケージのデザインまで見据えて選ぶことが大切です。
確認したいのは、次の3つの機能がそろっているかです。
・ホテルの世界観を香りで表現し、用途に合わせて調整できる調香師
・化粧品を含む商品の処方、容器、品質、製造条件を検討できる商品開発担当者
・ホテルのブランドにふさわしいラベルやパッケージを制作できるデザイン体制
これらが連携できる会社であれば、香りだけでなく、使い心地や見た目まで含めて、ホテルらしさを一貫して表現しやすくなります。空間芳香を依頼する段階で、将来どのような商品へ展開できるかも確認しておくとよいでしょう。
空間の香りを、持ち帰れるブランド体験に
空間の香りを商品にするときに大切なのは、使い方に合った商品を選び、お客様の反応を確かめながら展開することです。その実現には、調香、化粧品を含む商品開発、ラベルやパッケージのデザインが連携する体制が欠かせません。香りから商品まで一貫して設計することで、ロビーで感じた印象を、自宅でも思い出せるブランド体験につなげられます。
プロモツールは、JALの空港ラウンジ、客船「飛鳥Ⅲ」、グランドニッコー東京 台場、JRタワーホテル日航札幌などで香りブランディングとアロマ空間デザインを手がけ、館内で販売する香りグッズも製作してきました。資生堂やコーセーといった化粧品メーカーでの採用実績もあります。
日本を代表する調香師・渡辺武志が率いる香り技術研究所の調香師陣と、ガスクロマトグラフィーによる成分分析を担うフレグランスアナリストが連携し、商品ごとに香りを整えます。
館内で使っている香りの商品化や、将来の商品展開を見据えたオリジナルアロマの開発をご検討の際は、香りグッズOEM・化粧品OEM(プロモツール)へご相談ください。ノベルティ、客室アメニティ、物販など、目的に合わせた商品と展開方法をご提案します。



