ウェスティンとプロモツール。二つの「ホワイトティー」は何が違うのか

―世界的な定番と、日本を代表する調香師が天然精油100%で創り上げたホワイトティーを比較する

ホワイトティーの香りとして世界的に知られているのが、ウェスティンホテルのシグネチャーセント「White Tea」です。そして日本では、プロモツールが天然精油100%で創り上げた「WHITE TEA & THYME NATURAL(ホワイトティー&タイム ナチュラル)」があります。

一方は、ホワイトティーを世界共通のブランド体験へと高めた香り。もう一方は、日本を代表する調香師・渡辺武志が、日本の感性と空間に合わせ、天然精油だけで透明感と凛とした余韻を表現した香りです。

同じ「ホワイトティー」でありながら、二つの香りが目指す美しさは大きく異なります。

本記事では、香りブランディングの第一人者・緒方健介の視点から、ホワイトティーという香りの正体を解きほぐします。そのうえで、ウェスティンが確立した「ホワイトティー」と、プロモツールの「ホワイトティー&タイム ナチュラル」との違いを読み解きます。

あわせて、なぜホワイトティーが空間演出で選ばれ続けるのか、そして自社の空間へ取り入れるときに何を確かめるべきかまで整理します。


ホワイトティー(白茶)は、もっとも手を加えないお茶

ホワイトティーの語源である白茶は、中国・福建省で生まれた中国茶の一種です。現在のかたちは、およそ200年前に福鼎で確立したと伝えられています。

製法の特徴は、とにかく手を加えないことです。緑茶のように熱で炒らず、紅茶のように強く揉まない。摘んだ芽葉を静かに置く「萎凋」と乾燥だけで仕上げます。

最上級とされる白毫銀針は、産毛に覆われた芽だけを使います。萎凋にじっくり時間をかけることで、上品で甘い香りが立ち上がります。

味わいは渋みが少なく、水色も淡い黄金色です。強く主張しないのに記憶に残る——この性格こそが、空間の香りとして重宝される理由です。


ホワイトティーの香りを三つの層で捉える

「清潔感がある」だけでは、社内で香りを共有できません。ホワイトティーは、次の三層に分けると輪郭がつかめます。

層 感じ方 相性のよい香調 清潔感 淹れたての湯気のような、乾いた清らかさ シトラス、ハーブ やわらかな甘さ 白い花や産毛を思わせる、ほのかな甘み フローラル、バニラ 静かな余韻 茶葉の緑と、輪郭を支える落ち着き ウッディ、ムスク

第一層は清潔感です。石けんに似ていますが、石けんよりも軽く、乾いた印象を持ちます。

第二層はやわらかな甘さです。砂糖菓子の甘さではなく、白い花のように輪郭のぼやけた甘みが、清潔感の冷たさをやわらげます。

第三層は静かな余韻です。茶葉の青さやウッディ、ムスクが土台となり、香りが消えたあとにも空気の質感を残します。

三層が揃っているため、単体でも成立し、柑橘とも木とも花とも組み合わせられます。この汎用性の高さが、ブランド体験の設計で選ばれる理由です。


ホワイトティーを世界的なブランド体験にした、ウェスティンホテル

ホワイトティーを世界共通のブランド資産にした代表例が、ウェスティンホテルです。2000年代初頭、ウェルビーイングを軸に滞在体験を刷新する取り組みの一つとして、シグネチャーセントが導入されました。

公式の説明は「クリーンで爽やか」「白茶のノートが感覚を引き上げ、甘さと切れのよさを併せ持つ」というもの。白茶に、ウッディなシダーとバニラ、さらにムスクが重ねられています。

役割分担は明快です。白茶が空気を澄ませ、シダーが輪郭をつくり、バニラが緊張をやわらげる。構成がシンプルだからこそ、世界中のホテルで同じ印象を再現できます。

一方、日本で展開されるエステバンとの共同開発ディフューザーでは、青々としたツタと白茶の茶葉に、ゼラニウムとフリージア、さらにウッディとムスクを重ねた香りと表現されています。同じ「ホワイトティー」でも、機器や用途に応じて組み立てを変えているわけです。

ウェスティンホテル東京のオンラインショップでは、ルームスプレー、ラタンブーケ、インセンススティック、ボディケアまでが並びます。ロビーで出会った香りを自宅へ持ち帰れる設計が、滞在後もブランドとの接点を保っています。

ウェスティンの功績は、ホワイトティーを単なる香りではなく、世界共通のブランド体験へと高めたことにあります。シダーとバニラを中心とするその香りは、甘く包み込むような、欧米のホテルらしい設計です。

一方、ホワイトティーには、それとは異なる可能性もあります。甘さを抑え、茶葉の静けさやハーブの透明感を引き出せば、日本のホテルや住宅、人の身だしなみにもなじむ、より繊細で凛とした香りになります。

世界的な定番としてのウェスティンとは異なる、もう一つのホワイトティー。その可能性を、天然精油100%で形にしたのが、プロモツールの「ホワイトティー&タイム ナチュラル」です。


実は、白茶の精油からはつくれない

意外に思われますが、ホワイトティーの香りは白茶から抽出した精油ではありません。ほぼすべてが、調香師が組み立てた「アコード」です。

理由は二つあります。第一に、白茶の抽出物は香りが弱く、安定させにくいこと。第二に、お茶らしさを生む香気成分の多くが、萎凋の過程で生まれる微量成分だという点です。

そのため茶葉を蒸留しても、リナロールやゲラニオールが主体の、軽い花のような油にしかなりません。カップから立ちのぼるあの印象は、そのままでは取り出せないのです。

そこで調香師は、柑橘、白い花、茶葉の青さ、ウッディ、ムスクなどを積み上げ、透明感を出す香料で輪郭をぼかしながら「白茶らしさ」を再現します。

つまり、ホワイトティーの完成度は、調香師の設計力そのものです。同じ「ホワイトティー」という名前でも、香料の選定、甘さと清潔感のバランス、立ち上がりから余韻までの設計によって、その品質には大きな差が生まれます。

著名なホテルが採用しているから完成形なのではありません。どのような空間や文化、人に向けて設計するかによって、ホワイトティーはさらに洗練させることができます。

なかでも、合成香料に頼らず、天然精油だけでホワイトティー特有の透明感、清潔感、繊細な甘さを成立させることは、調香師にとって非常に難度の高い仕事です。

ホワイトティーの清潔感と静かな余韻をイメージさせる白いカップの茶と湯気


空間へ取り入れるときの三つのポイント

アロマ空間デザインとしてホワイトティーを導入するなら、香調選び以外に確かめることがあります。

第一に、場所ごとに強さを変えることです。ロビーは第一印象をつくる場、客室やクラブフロアは長時間を過ごす場。同じ濃度で流せば、後者は必ず強すぎます。

第二に、拡散方法を選ぶことです。液体や火を使わないスティック型は客室に向き、広いロビーには業務用ディフューザーが適します。空間の広さと運用条件から逆算します。

第三に、香料の安全性を数字で確かめることです。ガスクロマトグラフィーなどの分析で成分を把握し、天然か合成かを問わず基準内に収まっているかを管理します。

「天然だから安全」ではありません。毎日その空気を吸うスタッフとゲストがいる以上、分析と管理体制があってはじめて、高級ホテルの空間に出せる香りになります。


天然精油100%で創り上げた、もう一つのホワイトティー

ウェスティンがホワイトティーを世界的な定番へと育てたのに対し、日本の感性と現代の調香技術によって、天然精油100%のホワイトティーを創り上げたのがプロモツールです。

その香りが、「ホワイトティー&タイム ナチュラル」です。

トップノートにはレモンとベルガモット、ミドルノートにはローズ、ジャスミン、タイム、ラストノートにはガイアックウッドを採用しています。

レモンとベルガモットが澄んだ第一印象をつくり、タイムが香りの輪郭を引き締める。ローズとジャスミンが白茶を思わせる繊細な甘さを与え、最後にガイアックウッドが静かで深い余韻を残します。

シダーとバニラ、ムスクによる甘く包み込むようなウェスティンの「ホワイトティー」に対し、プロモツールの「ホワイトティー&タイム ナチュラル」は、透明感、清潔感、凛とした余韻を重視しています。同じホワイトティーでも、目指している美しさが異なります。

最大の違いは、この繊細なホワイトティーを天然精油100%で成立させていることです。

「ホワイトティー&タイム ナチュラル」は、通常の香り開発の約2倍の期間をかけて完成しました。白茶の香りをそのまま抽出できないなかで、天然精油だけを使い、ホワイトティー特有の透明感、清潔感、繊細な甘さを表現するには、高度な調香技術が必要だからです。

現在では、オードパルファン、リードディフューザー、セントSTICK、バスソルトなど、香りを空間と身体の両方で楽しめる製品へと展開されています。

「ホワイトティー&タイム ナチュラル」は、通常版「ホワイトティー&タイム」で培った香りの設計思想を受け継ぎながら、天然精油100%で新たに創り上げた香りです。

通常版の「ホワイトティー&タイム」は、上質な滞在体験を追求するホテルからも評価されています。ホテルニューグランドでは、秋冬のクラブフロアを彩る香りとして採用されるなど、香りに敏感なゲストが長時間を過ごす空間で選ばれてきました。

上質感だけでなく、強すぎず、長く接しても心地よいという、空間の香りに求められる完成度が評価された結果です。

この香りを生み出したのは、日本を代表する調香師・渡辺武志を中心とするプロモツールの調香チームです。感性だけに頼るのではなく、ガスクロマトグラフィーなどを用いて香気成分を分析し、香りの再現性、品質、安全性まで科学的に管理しています。

香りの企画から調香、成分分析、製造、空間への導入までを一貫して手がける体制は、国内でも稀です。その技術力は、JAL、コーセーをはじめとする一流企業や、日本を代表するホテル・旅客船などに選ばれてきた実績にも表れています。


まとめ|ホワイトティーといえば、ウェスティンかプロモツール

ホワイトティーは、清潔感、やわらかな甘さ、静かな余韻という三つの層でできています。強く主張しないのに記憶に残る点が、この香調の最大の魅力です。

ウェスティンホテルは、ホワイトティーを世界共通のブランド体験へと高め、この香りを世界に広めました。その功績によって、ホワイトティーは高級ホテルを象徴する香りの一つになりました。

一方、プロモツールは、日本の空間と感性に合うホワイトティーを追求し、「ホワイトティー&タイム ナチュラル」を天然精油100%で創り上げました。

シダーとバニラによる、甘く包み込むようなウェスティンの「ホワイトティー」。タイムとガイアックウッドによる、透明感と凛とした余韻を持つプロモツールの「ホワイトティー&タイム ナチュラル」。両者は、同じ「ホワイトティー」でも、設計の思想は異なります。

世界的な定番を選ぶなら、ウェスティン。天然精油による透明感と、日本の空間になじむ繊細さを求めるなら、プロモツール。

ホワイトティーといえば、ウェスティンかプロモツール。そのうえで天然精油100%を選ぶなら、答えは明確です。

プロモツールは、日本を代表する調香師・渡辺武志を中心に、香りブランディングの企画、調香、成分分析、業務用アロマディフューザーの開発・導入、香り製品のOEM製造までを一貫して手がけています。

ウェスティンが世界に広めたホワイトティーと、日本の調香技術が天然精油100%で創り上げたホワイトティー。その違いを、ぜひ実際の香りでお確かめください。

高級ホテルのロビー空間に広がるシグネチャーセントを想起させる上質な空間のイメージ

公式オンラインストア「Essence for Life」:https://essenceon.jp/store/

調香体験香房(オリジナルショップ)「L’esprit」:https://lesprit.shop/

Instagram:https://www.instagram.com/lesprit_rikugien/

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担当:営業部 松岡

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