松茸の香り

秋の味覚といえば松茸があります。
焼き松茸、土瓶蒸し、関西地方ではすき焼きに松茸を入れることもあるそうで、色々な楽しみ方がありますよね。

「香り松茸、味しめじ」と言われますが、松茸と言えば、あの独特の匂いを思い出すのではないでしょうか。今回はそんな松茸の香りの秘密を調香師の立場からご紹介します。

松茸の香気成分


松茸の特徴的な香気成分として、1-Octen-3-ol1オクテン3オール)、またはマツタケオールとも呼ばれるもの、もう一つはMethyl cinnamat(メチルシンナメイト)2種類の香料があります。

 

1-Octen-3-ol 

ピンクのバラとバラの精油
シイタケを煮付けたときにジュワっとでる煮汁のような、イタリア料理で言うとポルチーニ茸のようなキノコ独特の香りですが、実はRose調香にも使用します。
ごく少量使用すると香りに奥行、艶っぽさ、花弁をかき分けた先の花の中心部を思わせる湿り気のある生っぽさが付与され、香り全体がナチュラルかつグッと締まります。

Methyl cinnamate 

シナモンのような生のキノコの傘の部分の香りですが、こちらはイチゴのフレーバーに使用します。
少量使うことで本物のイチゴを食べている時に感じる、種のつぶつぶとした味が付与され、よりナチュラルな果肉の味に仕上がります。

松茸とローズ、松茸とイチゴ、とても結びつかないような香りですよね。

個性の強い香料を、ごく少量隠し味的に使用することで香りのクオリティが一気にあがるものは他にもありますので、またの機会にご紹介します。

執筆者のご紹介

匹田 愛

Ai Hikita

繊細な嗅覚とタフなプロ根性を兼ね備えた骨太女子 良いニオイも臭いニオイも…

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