香りの王 ジャスミン

白いジャスミンの花

香料業界では「ローズ」「ジャスミン」「ミュゲ」を三大フローラルと呼び、調香では必ずと言っても良いくらい頻繫に使用されています。
(ちなみに「ライラック」を加えて四大フローラルと呼ぶこともあります。)

有名な香水だとシャネルのNo.5は三大フローラルの全てを使用しています。
あの高級感や色っぽさは三大フローラルで表現されている、と私は勝手に思っています。

今回は三大フローラルで香りの王と呼ばれている「ジャスミン」について調香師目線でお話ししたいと思います。
 
 

ジャスミンの精油


実はジャスミンの精油は非常に高価で貴重な香りなので、高級香水でもない限り大量に使用することが出来ません。

なぜならジャスミンの精油は、なんと1トンの花から約1㎏程度の精油しか採れず、繊細な花なので、収穫は開花後の香りが最も調和する早朝から午前9時までに手で収穫しなければならず、気候や産地によって匂いが変化しがちで供給が不安定だからです。

手間を惜しまずデリケートに扱われるジャスミンの花。

やっと採れた少量の精油は、とても芳醇かつ優雅で、清楚な香りを私たちに与えてくれます。
まさしく「香りの王」ですね!!

そんな貴重で高価な精油なのに、3大フローラルとして頻繫に使用できるの?と思った方もいると思います。

答えは「できません。」

ではなぜ、世の中にジャスミンの香りがたくさんあるのか?というと、調香師が合成香料等を駆使してジャスミンの香りを調香しているからです。
どれだけジャスミンの精油に近い香りを調香できるかが、調香師の腕の見せ所でもあります。

ティーカップの中に入っているジャミン茶

そんな香料業界では高級で貴重なジャスミンですが、ジャスミン茶などでも気軽に香りを楽しむことができるので、皆さんも“香りの王”であるジャスミンを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
 
 

執筆者のご紹介

ワタナベ

Watanabe

イーストブルーの猛者 調香室期待の眠れる獅子。 座右の銘:「一石二鳥」 …

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