調香師の存在意義

調香師の存在意義

この仕事をしていると当たり前すぎて疑問ですらないが、 その事を知らない方と話をすると驚かれるという事はどの業界でもありますよね。

ここで簡単なクイズをひとつ。
3択です。

Question
皆さんが一度は嗅いだ事がある「バラの香り」。
何種類くらいの香り成分が含まれていると思いますか?

A:10種類
B:70種類
C:300種類

正解は「C」です。
なんと300種類以上の成分が見つかっています。

つまり、バラの香りはバラの香り、という1つの香りがあるわけではなく、沢山の成分が複雑に絡み、絶妙な 配合比率によって特有の香りとなります。
これはバラだけでなく食べ物や他の香りも同じでコーヒーは500種類以上の成分が見つかっています。 しかし全ての成分が香りに寄与するわけではありません。 少量でもその香りを特徴付ける重要な成分もあれば、 沢山含まれているのに香りに寄与しない成分もあります。
仮にバラの香りを再現する場合、これらの事を1つ1つを精査し、バラの香りにとって重要(量及び質)とされる成分をピックアップして処方を考えます。

こうして天然香料に似せて作ったものは、
「Substitute=代替品」や「Reconstitute=再構築品」 と呼ばれます。

●天然香料そっくりな香りなのに安価なので、 そのまま処方を天然香料と置き換える事でコストダウンを図ったタイプ。

●天然香料の持つ特徴をデフォルメしたり、 天然香料には含まれていない成分をあえて取り入れる事で新しい香りとして創り出したタイプ。

このように各香料会社が、最新の分析機器や合成技術を駆使し鎬を削って新しい香りを生み出しています。
なぜならそれらが次世代のスタンダードになるからです。
自然由来である天然香料は、今後ますます貴重となるため、 高価になり入手しにくくなります。
化学の発展や技術の進歩に伴い、 より広く様々な形で楽しめる様になりました。

天然香料と合成香料をうまく使いこなし、 天然香料と並ぶ、もしくは天然香料だけでは表現できない、 今までにない香りを創り出す事が、 今も昔も変わる事のない 「調香師の存在意義」なのです。

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